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山口 正秋; 鈴木 祐二*; 樺沢 さつき; 加藤 智子
JAEA-Data/Code 2024-001, 21 Pages, 2024/03
高レベル放射性廃棄物地層処分の生活圏評価において、地形や水系、土地利用等の具体的な表層環境条件を考慮できる評価手法の検討に資することを目的として、モデル集水域を作成した。ここでは、地形の特徴の異なる3種類のモデル集水域(Type13、流域面積:約730770km)を作成した。Type13の各モデル集水域は、既存のツール(地形・処分場深度変遷解析ツール)を用いて作成した集水域の地形データ(標高、陰影)と、地形データから作成した土地被覆データ(傾斜、水系・集水域、土地利用、人口分布)、および地形データと土地被覆データを用いて計算した河川流量・土砂移動データの地理情報からなる。本報告書では、これらの地理情報を地理情報システム(GIS)ソフトウェアなどで利用可能なデータ集としてとりまとめた。作成したモデル集水域は、わが国の表層環境の主要な特徴を可能な限り反映して仮想的に作成したものであることから、地形はもとよりさまざまな環境条件をパラメータとしたGBIやコンパートメントモデルの設定に係る水理・物質移行解析等を試行するテストベッドとして活用することが可能である。
青柳 和平; 石井 英一
Environmental Earth Sciences, 83(3), p.98_1 - 98_15, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.04(Environmental Sciences)高レベル放射性廃棄物の地層処分において、坑道掘削損傷領域の透水性の経時変化の予測が、掘削損傷領域内部の割れ目を介した放射性核種の移行特性の評価の信頼性向上において重要となる。特に人工バリア定置後の緩衝材の膨潤圧発生に伴う割れ目の透水性の変化を検討することを目的として、幌延深地層研究センターにおいて実施している実規模の人工バリア性能確認試験領域付近で4年間透水試験を実施した。試験の結果、透水性は時間とともに低下し、膨潤から4年経過した時点で、試験開始時よりも透水性が41%に低下することが確認された。さらに、Barton-Bandisのモデルを適用することにより、膨潤圧の変化に伴う透水性の低下挙動を定量的に再現することができた。割れ目の閉塞の妥当性については、人工バリア性能確認試験実施領域で実施した弾性波トモグラフィ調査において、特に底盤部分の弾性波速度の増大が見られたことから確認することができた。これらの結果から、人工バリアの膨潤に伴う掘削損傷割れ目の閉塞について、実証することができた。また、地層処分事業において、廃棄体定置後の緩衝材の膨潤による掘削損傷割れ目の透水性の事前予測に際してBarton-Bandisモデルの適用可能性が示された。
松枝 誠
知能と情報, 35(4), P. 88, 2023/11
放射性廃棄物とは、原子力産業、医療、研究開発などを通じて発生する放射性物質を含む廃棄物であり、放射性廃棄物の処理・処分は人類が抱える重要な課題の一つである。本解説では、放射性廃棄物の分類や処分の課題と現在の取り組みなどを述べた。
舘 幸男
化学と教育, 71(10), p.420 - 423, 2023/10
高レベル放射性廃棄物の地層処分概念と処分事業の現状を概観したうえで、地層処分の安全評価の方法と、その評価における化学の役割を紹介する。
佐藤 久*; 高山 裕介; 鈴木 英明*; 佐藤 大介*
JAEA-Data/Code 2023-010, 47 Pages, 2023/09
高レベル放射性廃棄物の処分場を沿岸部に建設した場合、沿岸部の地下水は海水の影響を受けて塩濃度が高くなるため、海水系の地下水が緩衝材を含む人工バリアに与える影響を十分に考慮して評価する必要がある。本報告では、緩衝材が飽和に至るまでの過渡的な期間において、海水系の地下水が緩衝材中での水分や溶質の移行現象に与える影響を評価することを目的として、異なる乾燥密度の圧縮ベントナイト試料を対象に、浸潤水のNaCl濃度を変えた一次元の塩水浸潤試験を実施し、浸潤水のNaCl濃度と浸潤速度の関係や浸潤試験後の圧縮ベントナイト試料中の含水比分布データを取得した。また、浸潤試験後の試料中の塩化物イオンの濃度分布を分析することにより、不飽和な圧縮ベントナイト中での溶質の移行挙動の理解に資するデータを取得した。その結果、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い浸潤は速くなり、乾燥密度1.4Mg/mから1.8Mg/m、浸潤水のNaCl濃度が0(蒸留水)から4.0mol/dmまでの範囲において、浸潤時間と浸潤量の関係は浸潤水の拡散現象とみなして評価できることが確認された。また、浸潤水が蒸留水の場合、含水比は給水側から浸潤距離に応じてなだらかに低下する分布となるが、浸潤水がNaCl水溶液の場合、含水比は給水側から浸潤の先端近くまで比較的高い状態を保ちながら浸潤の先端で低下する分布となり、NaCl濃度が高くなるに従いその傾向が強くなることが確認された。浸潤試験後試料の塩化物イオン濃度の分析結果から、給水側よりも浸潤方向側の領域で給水側より塩化物イオンの濃度が部分的に高くなる現象(塩化物イオンの濃縮)が起きており、この傾向は供試体の乾燥密度が低くなるに従い強くなることや、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い強くなることが確認された。また、浸潤に伴い塩化物イオンが濃縮する現象は供試体の初期含水比に依存することが確認されており、浸潤に伴う塩化物イオンの濃縮が生じない条件を設定可能な見通しが得られた。
大澤 英昭
技術士"ちゅうぶ", (12), p.34 - 41, 2023/09
日本原子力研究開発機構東濃地科学センター土岐地球年代学研究所の現況を紹介する。
深谷 裕司; 丸山 貴大; 後藤 実; 大橋 弘史; 樋口 英明
JAEA-Research 2023-002, 19 Pages, 2023/06
商用高温ガス炉使用済燃料の再処理に由来する廃棄物の処分に関する研究を行った。軽水炉の再処理と高温ガス炉の再処理では燃料の構造の違いによる大きな違いがあるため、軽水炉に対して制定された再処理の廃棄物処理に関する法律の高温ガス炉廃棄物への適用性を確認すべきである。そこで、技術の違いを比較するとともに、全炉心燃焼計算を用いて、黒鉛廃棄物の放射化量及び表面汚染による放射能濃度を評価することにより、再処理廃棄物について比較を行った。その結果、SiC残渣廃棄物は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(2000年法律第117号)の第二種特定放射性廃棄物として軽水炉のハル・エンドピースと同様に地層処分されるべきことが分かった。黒鉛廃棄物については、軽水炉のチャンネルボックスと同様に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(1957年法律第166号)の第二種廃棄物としてピット処分による浅地中処分されるべきことが分かった。
村上 裕晃; 西山 成哲; 竹内 竜史; 岩月 輝希
応用地質, 64(2), p.60 - 69, 2023/06
放射性廃棄物の処分分野において、ボーリング孔が適切に閉塞されたことの妥当性を確認するための確認項目を整理する目的で、ベントナイトを用いたボーリング孔の閉塞試験を行った。閉塞材の定置前後に閉塞区間を対象として注水試験を行った結果、本研究で目標としたとおり閉塞材がその上下の区間を分断していることを確認できたことから、適切に閉塞されたことを確認する手法の一つとして注水試験が有用であると考えられた。一方、一度閉塞した区間に高差圧が生じた結果として閉塞部に水みちが生じたことから、高差圧が生じる条件では、閉塞材を移動させない等の対策が講じられていることが確認項目として挙げられる。計画段階では、岩盤の水理地質構造に応じた閉塞材のレイアウトや仕様が検討されていることが重要である。また、ベントナイトを閉塞材とする場合は、ベントナイトが孔内で膨潤して体積が増加、密度が低下して透水係数が上昇するため、このことが念頭に置かれている必要がある。加えて、ベントナイトを計画深度へ定置可能な搬送方法であることや、複数材料を組み合わせる場合は閉塞材の性能を低下させない配置であることが確認項目として挙げられた。
三ツ井 誠一郎
金属, 93(3), p.211 - 218, 2023/03
地層処分研究開発の一環として、地層処分で想定される現象に類似した、天然類似現象(ナチュラルアナログ)を対象とする研究、「ナチュラルアナログ研究」が実施され、地層処分で想定される現象の予測モデルの概念や評価手法の妥当性の検証に利用されている。日本原子力研究開発機構が実施してきた金属製遺物を対象としたナチュラルアナログ研究の成果を通じ、出土金属製遺物から得られる知見を地層処分研究開発にどのように活用しているかを紹介する。
柳田 明進*; 浦 蓉子*; 三ツ井 誠一郎; 石寺 孝充; 川喜田 竜平
奈良文化財研究所創立70周年記念論文集; 文化財論叢,5, p.843 - 856, 2023/03
鉄製遺物内部への塩化物塩の集積の有無とその要因を検討するため、平城宮・京より出土した3点の鉄製遺物に対して、蛍光X線分析による元素マップ、微小部X線回折分析、X線CTによる非破壊分析を実施した。さらに、既報の平城宮跡の環境調査結果に基づき、鉄製遺物の埋蔵環境を推定した。その結果、3点は、(1)酸化的な環境に埋没していたと推定され、針鉄鉱/磁鉄鉱の腐食層を有し、内部に赤金鉱が生成した鉄製遺物、(2)酸化的な環境に埋没していたと推定され、内部の金属鉄が溶出し、針鉄鉱のみの腐食層が形成された鉄製遺物、(3)還元的な環境に埋没していたと推定され、菱鉄鉱を含む腐食層が形成された鉄製遺物、であることが認められた。このうち、塩化物塩の集積が確認された鉄製遺物は(1)のみであった。平城宮跡の水質観測孔におけるCl濃度は観測点によって顕著な差異は認められないことから、Cl濃度以外の環境因子が塩化物塩の集積に影響を及ぼしていることが認められた。塩化物塩の集積は、針鉄鉱/磁鉄鉱からなる腐食層が形成されたことでアノードとカソードが分離し、局部腐食が生じたことが要因である可能性が考えられた。
坂井 章浩; 亀井 玄人; 坂本 義昭
日本原子力学会誌ATOMO, 65(1), p.25 - 29, 2023/01
現在、国内において、研究機関,大学及び医療機関等から発生するいわゆる研究施設等廃棄物は、埋設処分されることなく保管が継続されている。日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、この課題を解決するため、研究施設等廃棄物のピット処分及びトレンチ処分の埋設事業の計画を進めている。本解説では、原子力機構が計画している埋設施設及び対象廃棄物の特徴を紹介するとともに、埋設施設の立地基準についての検討状況を紹介する。
中村 美月; 出雲 沙理; 小川 理那; 仲田 久和; 天澤 弘也; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2022-025, 73 Pages, 2022/12
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分事業の実施主体として、浅地中処分の実施に向けた検討を進めている。研究施設等廃棄物の埋設処分事業では埋設施設の操業中の安全評価として、ピット施設、トレンチ施設及び受入検査施設からの直接線及びスカイシャイン線による敷地境界での実効線量が、「第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」に規定された50Sv/y以下となることを示す必要がある。直接線及びスカイシャイン線による実効線量が50Sv/y以下とするためには、各施設から敷地境界までの距離を120m以上とすることが、概念設計の結果に基づき立地基準案では示された。一方、令和元年に埋設対象廃棄体の物量調査を行い、その結果、トレンチ処分対象の廃棄体等本数が概念設計時に比べて増加し、トレンチ施設に係る施設規模等の設計が変更された。そこで、本報告書では2次元Sn輸送計算コードDOT3.5を用いて、設計変更後のトレンチ施設からの距離に応じた敷地境界でのスカイシャイン線量評価の感度解析を実施した。各トレンチ施設1基あたりの評価及び各トレンチ施設の重畳評価の結果、どちらの評価結果においても各施設から120m離れた敷地境界でのスカイシャイン線による実効線量が50Sv/y以下となることを確認した。
地層処分研究開発推進部
JAEA-Evaluation 2022-007, 81 Pages, 2022/11
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成29年4月1日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定)等に基づき、令和3年8月23日に「地層処分技術に関する研究開発」に関する事後評価及び事前評価について地層処分研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、地層処分研究開発・評価委員会は、原子力機構で定められた評価手順に従い、原子力機構から提出された第3期中長期目標期間における研究開発の実施状況及び第4期中長期目標期間における研究開発の計画について評価を行った。本報告書は、地層処分研究開発・評価委員会より提出された事後評価及び事前評価結果(答申書)を取りまとめるとともに、本委員会での説明資料、及び評価結果に対する原子力機構の措置を添付したものである。
牧野 仁史; 仙波 毅; 柴田 雅博
NEA/RWM/R(2018)7 (Internet), p.315 - 322, 2022/11
原子力機構(JAEA)による先進的なKMSの開発に係る挑戦について、JAEA KMSの開発の背景、開発のアプローチ、開発したプロトタイプの紹介を含めてまとめる。あわせて、JAEA KMSの導入と持続的なメンテナンス等の実施のための挑戦や実務的な課題についてまとめる。
河内山 真美
核データニュース(インターネット), (133), p.76 - 81, 2022/10
日本原子力学会2022年秋の大会での「シグマ」調査専門委員会と核データ部会の合同セッションにおける発表の概要を「核データニュース」誌に寄稿した。原子力機構では、研究施設等廃棄物の埋設処分に必要な研究炉の解体廃棄物の計算による放射能インベントリの評価手法を検討している。近年、JENDL-4.0及びJENDL/AD-2017などを基に作成したライブラリを導入して放射能評価計算を実施しており、その検討状況について紹介する。また、計算で得られた結果から、埋設事業に必要な埋設処分区分の判定や重要核種の選定の評価を行う方法について紹介した。
岡田 翔太; 村上 昌史; 河内山 真美; 出雲 沙理; 坂井 章浩
JAEA-Testing 2022-002, 66 Pages, 2022/08
日本原子力研究開発機構は、我が国の研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物の埋設事業の実施主体である。これらの廃棄物中の放射能濃度は、廃棄物埋設地の設計や埋設事業の許可申請をする上で必要な廃棄物情報である。埋設事業の処分対象となる廃棄物は、施設の解体に伴って発生する解体廃棄物が多くを占めている。このため、埋設事業センターでは、試験研究用原子炉の解体廃棄物を対象として、理論計算法による放射能濃度の評価手順の検討を行い、試験研究用原子炉に共通的な評価手順についてとりまとめた。本書で示す手順は、放射化計算により放射能インベントリを決定し、その妥当性を評価した後、処分区分の判定並びに処分区分毎の総放射能及び最大放射能濃度を整理するというものである。放射能インベントリの決定においては、まず2次元又は3次元の中性子輸送計算コードを用いて原子炉施設の各領域における中性子束及びエネルギースペクトルを計算する。その後、それらの計算結果に基づき、放射化計算コードを用いて、140核種を対象として放射化放射能を計算する。本書では、中性子輸送計算コードとして、2次元離散座標計算コードのDORT、3次元離散座標計算コードのTORT又はモンテカルロ計算コードのMCNPとPHITS、放射化計算コードとしてORIGEN-Sを使用することを推奨する。その他、利用を推奨する断面積データライブラリや計算条件等についても示す。評価手順のとりまとめに際しては、日本原子力研究開発機構外部の試験研究用原子炉の設置者と定期的に開催している会合において、各事業者が共通的に利用できるようについて意見交換を実施した。本書で示す手順は、今後の埋設事業の進捗や埋設事業に係る規制の状況等を反映して、適宜見直し及び修正をしていく予定である。
佐久間 康太; 阿部 大智*; 岡田 翔太; 菅谷 敏克; 仲田 久和; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2022-013, 200 Pages, 2022/08
我々は、研究施設等廃棄物の埋設処分に向けて、トレンチ処分及びピット処分の区分や重要核種を選定する際の参考値とするために、廃棄物に含まれる可能性のある放射性核種について、トレンチ処分及びピット処分における基準線量相当濃度の試算を行っている。前報である「研究施設等廃棄物の浅地中処分のための基準線量相当濃度の検討(その1)」では、原子力安全委員会がトレンチ処分及びピット処分の濃度上限値を算出した手法を基に、廃棄物埋設施設の立地環境を幅広く想定して中深度処分の被ばく経路等を対象に基準線量相当濃度の試算を行った。本報告書は、ピット処分の廃棄物埋設施設からの浸出水量の感度解析評価の結果を用いるとともに、埋設地の条件を幅広く想定した新たな評価経路及び被ばく形態を取り入れて、ピット処分の基準線量相当濃度の試算を行い、前報との比較を行ったものである。なお、本報告書で試算した基準線量相当濃度の結果は、立地場所が決定していない段階でのピット処分の区分や重要核種を選定する際の参考値として用いることを考えているため、今後、立地場所の決定後に立地条件を踏まえて線量評価を行う必要がある。
小川 理那; 仲田 久和; 菅谷 敏克; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2022-010, 54 Pages, 2022/07
日本原子力研究開発機構では、研究施設等廃棄物の処分方法の一つとして、トレンチ埋設処分を検討している。トレンチ埋設処分は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」が適用され、特に、埋設施設の設計については、「第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」が適用される。この規則は、令和元年に改正され、トレンチ埋設施設には、施設中への雨水及び地下水の浸入を十分に抑制させる設計を取り入れることが新たな要求事項として追加された。そこで、本報告では、現在計画しているトレンチ埋設施設に追加された規則の要求事項を適応させた設計の検討を行うこととした。検討中のトレンチ埋設施設は、地下水位より浅い位置に設置することを想定している。そのため、施設中に浸入する水は、主に雨水由来のものであると考えられることから、トレンチ埋設施設の表面にある覆土の設計について検討を行うこととした。本報告では、日本原子力研究開発機構が検討しているトレンチ埋設施設のうち、安定型トレンチ埋設施設の覆土設計について検討した。検討方法としては、覆土に用いる材料や施工方法により設計条件の変更が可能である透水係数及び厚さについてパラメータスタディを実施し、各条件における廃棄体層へ浸入する水の流速を評価した。各条件における流速の結果を比較し、より効率的に雨水の浸入を抑制する覆土の設計条件を評価することとした。解析の結果、粘土層及び排水層の厚さや透水係数の値の組み合わせ毎に覆土の遮水性能を把握することができた。将来、実施するトレンチ施設の基本設計においては、安全評価上有効な遮水性能に加え、その他の課題や施工費の検討も実施した上で合理的な覆土の仕様を決定する予定である。
酒瀬川 英雄
ENEKAN, 20, p.20 - 23, 2022/07
ウラン廃棄物の処理処分に関する研究について、非専門であっても理解し易いように紹介する。ウラン廃棄物工学研究、リスクコミュニケーション、そして、まとめから構成されている。ウラン廃棄物工学研究では酸性電解水による除染技術を紹介する。リスクコミュニケーションでは非専門家側からの理解が重要であることを紹介する。まとめは上記を整理した所感を述べる。
山口 正秋
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.38 - 41, 2022/06
本講演では、1970年代から進められてきたわが国の地層処分研究の枠組みとその経緯について概説した。2020年には事業主体による文献調査が開始され、今後は地層処分の基盤技術として工学技術や長期安全性の評価により焦点があたると考えられる。そこで本講演では、研究開発分野のうち工学技術および地層処分システムの性能評価の研究開発の概要を中心に、具体的な評価手法を解説した。さらに、最近の研究事例として隆起・侵食影響評価の高度化にむけた取り組みについて紹介した。